SIN Vol.3 2024年末に完走した漫画たち②「Dr.STONE」

 

 年末最後の掃除を終え、毎年年越し前に見ているホロのカウントダウンライブまで時間がダダ余りしていたので、
 2024年最後の一仕事ということで、終盤手前まで読み進めていたジャンプ漫画3作を一気にラストまで読んで一気に完走しました。
 感想を3連続でまとめていきます。当然ながら結末までのネタバレ注意で。

 

 本作は去年Twitter(X)のフォロワーであった大切な友人に熱い布教をされたことをきっかけに読んだ作品になります。
 残念ながらTwitter(X)のアカウントは削除したので、この作品の感想を御本人に届けることが叶わない願いとなりました。
 自分の人生の後悔していることの1つではあるが、その気持ちを是非この場で書き留めていきたい。
 前回の「キャプテン翼」以上に布教されるまでタイトルすら知らなかった作品なのだが、
 原作担当が「アイシールド21」の稲垣先生と知ったことで最初は興味を持ちました。

 作品の内容としては同誌の先人だと「北斗の拳」のようなポストアポカリプスもので、科学の力で世界を再建する物語。
 最大の特徴は何といっても科学のによる論理的な世界再生の部分に物語内容を全振りしていることで、
 バトル要素やミステリー要素もあるものの、そこが全然メインじゃないと言う部分だろう。
 バトルも大半の内容が能力バトルや個々人の激闘というよりも、国VS軍といった群体同士の対決がメインであり、
 その場にいる仲間たち全員の力を借りる総力戦である部分も面白い。
 主人公の千空は頭脳明晰で作中世界を変革させた最高最強の人物で間違いないものの、バトル方面は完全にからっきしであり、
 搦め手で相手を出し抜いて倒すような知略戦で攻略していく部分は、
 同誌の先人である「封神演義」の太公望のような立ち回りで非常に好みだった。
 物語構成も、石器時代の文明レベルから段階を追って近代技術の道具や兵器なんかを次々と生み出していく流れは、
 第1話から積み重ねて読んでいくことで進化ぶりに感動できる。
 当然文明を進化させるのは千空一人では無理な話であり、最初は友人数人から一集落の村まで仲間を増やし、
 最終的には一国レベルで仲間が増えるという、これもまた積み重ねの果ての発展で感動した。

 好きなキャラはダントツでスイカ、男性キャラだとゲン。
 ゲンはイロモノと思わせての作中きっての一般人ポジとしてのツッコミ担当兼千空のぶっ飛んだ発想の反応担当
 非常に存在感のあるキャラだった。
 スイカはロリ・ヘルメットを被った仮面キャラ・本章の終盤にかけて年数の経過によって見た目が大幅変化と、
 もう性癖の塊のような好きな要素が詰め込まれていた最高のキャラで間違いない。
 当初は小さな外見からトリッキーな動きをする実働班の活躍が多かったが、
 終盤以降はクロムと並んで科学サイドのキャラとなって千空に知恵を貸すキャラへと成長したのも非常に感動的。
 本章後半で、世界でただ一人スイカだけ復活するシーンから7年の歳月をかけて千空を復活させたシーンは、
 本作最大の名シーンとして軽く涙が出てしまうほどの感動があった。

 反面、ラブコメ要素に関しては全然全く面白くなかったと断言する。
 本作の第1話は千空の友人の大樹と紅のラブコメ話から始まるので、そういう路線の要素もあるのかと思いきや、
 1話以降はほとんど触れられない。最終回でその二人が普通に結婚していると〆ていて「今更触れるの!?」感が凄まじい。
 千空自身も科学による世界の発展以外の感情が欠落していて、
 作中登場する女性キャラ数名と良い感じになることが多いものの、本人が全く興味がないので発展しない。
 「ドラゴンボール」のようなとにかく触れない!とかじゃなくどこか中途半端に扱っている感じが好みではなかったという感じだろうか。
 後これは「暗殺教室」にも全く同じことを思ったのだが、
 キャラが尋常じゃない多さなので活躍の優劣がすごくハッキリしてしまっている。
 ネームドキャラで見た目もかっこいいor可愛い…が、初登場以後全然全く活躍しないみたいなキャラがざら。
 個性的なキャラの多さに反して何処か勿体なく感じる。
 特にそう感じたのは、ほむら・キリサメ・松風・ジョエル辺りだろうか。
 第3章の石化王国編が初出のキャラが全体的に不遇気味な印象を受ける。

 本作は話数を重ねていくことで段階を追って進化していく様にカタルシスを感じる作品であり、
 週刊連載のジャンプとの相性が良すぎたと言える。稲垣先生の高い構成力によるものだろう。
 魅力的なキャラが多いものの、個々の掘り下げは薄めではあるため、キャラ萌え目的だとイマイチではあるかもしれない。
 メインではないと前述したバトル要素も、司や氷月やコハクが絡むと印象深い戦闘描写であったり、
 ステリー要素も石化現象の真実には全く予想だにしない答えが待っていたりと、
 個々の要素だけで見ると光るところもあり、全体的な完成度は非常に高い。
 唯一ラブコメ要素だけは前述の個々の掘り下げの薄さで魅力をあまり感じなかったといったところだろうか。
 自分の持論であったりする「20巻代で完結する漫画は名作」を地で行く作品でした。
 満足いくまま完走できたので、次は一切触れていないテレビアニメ版も見て2週目入ろうと思う…と言おうとしたが、
 実はまだアニメ版は未完だったと知り驚愕している。
 完結が約2年前だし丁寧にアニメ化しているなら順当なのだろうか。
 キャラを演じている声優も全く存じていないので、一体あのキャラを何方が演じているのかというのも楽しみだ。

 最後に、この感動した気持ちを大切な友人に伝えることが出来なかったことは、人生の後悔していることの1つです。
 この場を借りて、布教して頂き本当にありがとうございましたと言わせてください。 


2025年01月04日